「残業や夜勤がキツくて看護師をやめたい」と思うことはありませんか? 精神科で勤務すれば、プライベートと仕事の両方を充実させることができます。一方で給料の不安も残りますよね。そこで、精神科に転職したらどのようにライフスタイルが変化するのか、詳しく解説していきます! 余裕をもって楽しく働くために、精神科での勤務を知っておきましょう。

■精神科に転職すると何が変わる?

精神科に転職して何が変わるのでしょうか? その答えは、看護師としてスキルアップをしながら、子育てや家事をないがしろにすることなく、充実した日々を送ることができます。

残業や夜勤が多く、看護師をやめたいと思ったことはありませんか? 看護師として働いていれば、一度はそう思ったことがあるのではないかと思います。人間関係や残業の多さに悩み、子どもや家族にあたってしまうことも時にはありますよね。特に子育て中は、仕事との両立に悩むと思います。そこで、プライベートと仕事を両立できる精神科に転職してみませんか? それまでは、「看護師をやめたい」と思った筆者でも「看護師を続けたい」と思えるように変わったきっかけが精神科への転職です。精神科で働くメリットやデメリット、気になる給料まで詳しく解説していきます。

■精神科での仕事内容、1日のスケジュール

一般病院に勤務していると精神科での勤務がイメージしづらいのではないかと思います。そこで、精神科病院での仕事内容を紹介していきます。まずは、1日、1週間のスケジュールを見てみましょう。

小見出しタイトル:1日、1週間のスケジュール

1日のスケジュールは次の通りです。

時間 業務内容
9:00 朝礼、申し送り
環境整備

バイタルサインチェック

入浴の介助、医療処置など
12:00 昼食、与薬
13:00 記録入力
カンファレンス

作業療法など

16:00 記録入力、残薬確認
17:10 終礼、夜勤へ申し送り

 

バイタルサインチェックや医療処置は、早ければ午前中に済んでしまうこともあります。医療処置が少ないのも精神科の特徴です。午後は、患者さんとのコミュニケーション、記録入力、カンファレンスに時間を割くことができます。

1週間のスケジュールでは、曜日によって決められた業務があります。入浴介助、カンファレンス、レクリエーションなどをする日が決まっています。患者さんが病気とうまく向き合いながら生活していく手段を、手助けするようなイメージですね。

精神科ならではの業務

精神科ならではの特徴的な業務は次の通りです。

・向精神病薬(抗精神病薬、睡眠薬など)の管理

・施錠の管理

・保護室の看護

・レクリエーション、リハビリテーションの参加

 

・抗精神病薬、睡眠薬などの管理

精神科ではほとんどの患者さんが、最終的には内服薬で病気をコントロールしていきます。患者さんによっては、デポ剤(持続性注射剤)によって病状をコントロールする場合もありますが、なるべく内服薬でコントロールするのが基本です。病棟では、向精神病薬を管理しているため、1日の残薬にズレがないか確認をする作業があります。麻薬・及び向精神病薬取締法では、向精神病薬を施錠して管理することが定められていますね。一般病院よりも、向精神病薬の種類や量が多いので、残薬確認は必須の業務になります。

また、精神科の患者さんは、不安になったり怒りっぽくなったり、感情が大きく変化します。症状でつらい時に、抗不安薬などの頓服薬を医師の指示のもと与薬することがとても多いです。患者さんが1日穏やかに過ごせるよう、必要に応じて頓服薬を併用しながら、コントロールしていきます。

与薬も含めた向精神病の管理は、精神科に特徴的な業務になります。

 

・施錠の管理

精神科では入院形態によって、閉鎖病棟への入院があります。精神保健福祉法によって、さまざま取り決めがされていますが、措置入院や医療保護入院などを取り扱う閉鎖病棟では、施錠が必要になります。スタッフが鍵を持ち歩くのも、一般病院では考えにくいですよね。万が一鍵をなくしてしまったら、重大なインシデント、アクシデントになるんですよ。

 

・保護室の看護

精神科特有の業務に、保護室の看護があります。急性期や慢性期の増悪期で、自傷他害の恐れなどがある時には、「保護室(隔離室)」を使用することもあります。保護室の使用にあたっては、精神保健福祉法に基づいて詳細に定められています。保護室は、個室の環境で、患者さんを守るために内側からはドアを開けられない構造です。行動範囲や部屋に入れて良いものなど、主治医の指示により患者さんごとに細かく決まっています。行動制限があると、看護師が代わりにしなければならないことも増えて、少し大変です。そのため、保護室を受け持つ時は、受け持ち人数も少なくなります。

 

・レクリエーション、リハビリテーションの参加

精神科の患者さんは、ストレスとうまく付き合っていかなくてはなりません。療養中はもちろん、退院に向けて、気分転換の方法や退院後の生活技術を習得する必要があります。IADL(手段的日常生活動作)とも呼ばれますが、退院しても困らないように入院中から練習しておくとスムーズに退院できるのです。リハビリテーションでは外出訓練としてIADLの獲得のために、作業療法士と訓練に同行する場合もあります。

■余裕を持って働ける! 精神科で働くメリット

精神科では、業務に余裕があるため、一人ひとりの患者さんと向き合う時間が多く、じっくりと関わることができます。精神科で働くメリットについて3つ紹介していきましょう。

・残業が少なく、業務に余裕がある

一般の病棟では、イレギュラーな対応も多く、残業が23時間は当たり前ですよね。

https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/jikan/pdf/20090427.pdf

2008年の日本看護協会による調査では、23人に1人は、月60時間を超える長時間労働の実態が明らかになっています。つまり、単純計算すれば、1日平均3時間は残業していることになります。

一方で精神科では、医療処置が少なく、患者さんの自立度が高いため、定時に終わることがほとんどです。業務に余裕があるため、カンファレンスや研修、委員会活動など業務時間内にきちんと終わらせることができます。チーム医療を考える時間を確保できるため、患者さんのためにより良い看護、医療を展開することが可能になります。他の専門職とも連携がしやすく、チーム医療を実践してる実感がわき、やりがいにつながりますよ。

また、精神科はベテランナースも多く勤務しています。つまり、育児中だけでなく親の介護が必要な看護師も一緒に勤務しているのです。幅広い年齢層の看護師が勤務しているため、「困ったときはお互い様」という考えが根付いており、子育て中や介護中でも負担なく働くことができます。

・優しい看護師が多く、人間関係が良い

看護師の職場は、女性が多いためか人間関係に悩むこともありますよね。しかし、精神科では、優しい看護師が多く、人間関係が比較的良好です。なぜならば、精神疾患の患者さんを対象としているため、高いコミュニケーション能力をもった看護師が多く勤務しているからです。人間関係が良好であれば、心にも余裕をもって働くことができますよ。

チーム医療を実践していく上でも、人間関係は良くないと仕事に支障が出ます。看護師は、患者さん相手にストレスを感じることも多いため、せめて人間関係で悩むことが減れば、精神的な負担も減りますよね。

・患者さんとじっくり関わることができる

精神科では、医療処置に費やす時間が少ないため、患者さん一人ひとりにじっくり関わる時間が作れます。心の病気ならではの看護ですね。精神科では、患者さんの生い立ちや家族環境など、「その人の人生」を知る必要があります。一人ひとり、育った環境も異なれば、家族背景も異なります。患者さんがどう病気と向き合っていくかを一緒に考えることができるんですよ。長期に入院していた患者さんが、退院できた時はとてもやりがいを感じます。

 

■克服できる! 精神科で働くデメリット

精神科で働くには、残念ながらデメリットもあります。デメリットも理解して上で、どう克服していくか一緒に考えていきましょう。

・医療処置が少なく、スキルアップしづらい

精神科では医療処置が少ないため、採血や点滴などの技術的なスキルが進歩しないことがあります。しかし、全くないわけではありません。頻度が少ないだけで、点滴が必要になることもよくあります。医療技術に不安なようであれば、総合病院や内科病棟を併せ持つ精神科病院で働くことをおすすめします。病棟でも、新人看護師など技術の習得が必要な場合は、医療処置を優先してできるようチームで声を掛け合っていますよ。

医療技術もスキルアップできる環境で、精神科での勤務ができれば、デメリットを克服できます。転職の際に、万が一指摘されたとしても克服しようとした努力を評価してくれるはずです。

・誹謗・中傷を受けることがある

精神疾患ならではの症状により、暴力、暴言を受けることもあります。一生懸命看護しているにもかかわらず、傷つくことを言われたらとてもつらいですよね。精神疾患の症状によって看護師が被害を受けないよう、暴力に対して、研修に参加したり、CVPPP(包括的暴力防止プログラム)をチームで実践したり、あらゆる工夫しています。また、精神科では男性看護師が多く活躍しています。筆者の勤務している精神科病院は、男女比が、男性:女性=37で、看護師10人のうち3人が男性です。身体介護など肉体労働で頼りになるだけでなく、精神状態が悪化した患者さんには、複数の男性看護師で対応するため、心強い存在です。危険を伴う患者さんの対応には、ひとりで無理をせず男性看護師の力を借りることができますよ。転職先の病院に男性看護師が多いか聞いてみると良いでしょう。

・患者さんに影響されることがある

精神疾患の独特な症状に看護師が影響されることがあります。看護師もうつ病になってしまうのではないかと不安になるかもしれませんが、あまり心配しなくても良いでしょう。なぜならば、精神科では、人間関係が良くチームワーク抜群だからです。チームワークの良さは、患者さんに影響されて看護師自身が精神疾患になってしまうことを防ぐ場面でも発揮されます。患者さんの妄想などに巻き込まれそうになった時は、周りがサポートしてくれますので、安心してください。また、残業が少ないため、プライベートの時間が確保でき、リフレッシュできる機会が増えます。患者さんとのコミュニケーションに少し疲れてしまっても、気持ちを切り替える「時間」と「余裕」があるのです。

■精神科でスキルアップをしよう

看護師としてのスキルアップは、転職をしていく上でも欠かせない条件ですよね。いくら年収や待遇が良くてもやりがいがなければ、仕事を楽しめないでしょう。そこで、精神科でのスキルアップの代表例を紹介していきます。

・精神看護専門看護師

精神科にも専門看護師の領域があります。精神看護専門看護師は、精神科だけでなく、一般の病院でも、心のケアをおこなう「リエゾン精神看護」の役割を担い、活動の幅が広がります。患者さんのクレーム対応から、がん患者さんのメンタルヘルスケアまで対応しており、患者さんに寄り添う看護の実践をしています。精神看護専門看護師を取得すれば、転職の際にも有利になりますよ。

http://www.nurse.or.jp/up_pdf/20170201152449_f.pdf

2016年のデータになりますが、精神看護専門看護師の数は267名です。がん看護専門看護師に次いで、2番目に多い取得者数になり、人気の資格になります。

・精神科認定看護師

精神科では、認定看護師の資格もあります。認定看護師は、専門看護師よりも短期間で取得でき、患者さんが主な対象になります。より専門性の高い心のケアを提供します。

http://www.jpna.jp/education/nurse-data.html

2018年度の精神科認定看護師数は782名です。精神科認定看護師は、病院内の研修はもちろん、病院外でも定期的に講師としても活動できるんですよ。専門看護師よりは比較的取得しやすいため、精神科でスキルアップを目指すにはおすすめの資格ですね。

・認知症看護認定看護師

精神科では認知症を扱っている病棟もあります。認知症に従事した経験があれば、認知症看護認定看護師の資格が取得できます。認知症の患者さんや家族の専門的なケアが特徴的な業務です。

http://nintei.nurse.or.jp/nursing/wp-content/uploads/2018/08/17cn_ed201807.pdf

認知症看護認定看護師も人気の資格で、2018年度では、1251名になります。

・認知症ケア専門士・認知症ケア上級専門士

専門看護師も認定看護師もハードルが高いと感じるようであれば、認知症ケア専門士・認知症ケア上級専門士がおすすめです。専門看護師や認定看護師よりも比較的容易に取得できる資格で、認知症の専門技術士です。上級専門士の方が、ケアチームのリーダーや、地域のアドバイザーとして幅広く活動できますよ。

・CVPPP(包括的暴力防止プログラム)指導者

精神疾患の症状で、注意したいのが暴力です。そこで活躍する資格が、CVPPP(包括的暴力防止プログラム)指導者になります。CVPPPトレーナーとも呼ばれ、精神疾患患者さんによる暴力を防止できるよう専門的な知識や技術を習得します。どうしたら「患者さんの安全を守りながら暴力を防げるのか」などの課題を、勉強会で解決できるよう指導していきます。男性看護師が多く取得する資格ですが、中には女性の看護師もいます。患者さんの安全だけでなく自分の身を守る技術ですので、精神科で働くのであれば勉強しておいて損はないでしょう。

■精神科の気になる年収や待遇とは?

さて、気になるのはやはり年収や待遇ではないでしょうか。プライベートを充実させるためには、年収や待遇は重要なポイントになりますよね。

実際、精神科で働くと、年収は下がったように感じる人が多いようです。なぜならば、時間外手当が少ないためです。時間外手当を考慮しなければ、ほとんど年収は一般病院と大きく差はありません。筆者の勤務する病院では、時間外手当がない分、ボーナスが多く出ます。年収で考えると相当額もらえており、給料の低さは気になるほどではありません。

また、精神科の年収を知る上で、知っておきたい手当が危険手当です。危険手当とは、患者さんからの暴力を受ける危険性がある場合に支給されるもので、平均1万円程度になります。危険手当がない精神科病院もあり、転職や就職の際には確認しておくことをおすすめします。

ここで少し例を紹介しましょう。筆者の勤務する精神科病院では、日勤常勤で350万、通常の常勤で400万程度の年収になります。管理職になれば、さらに金額が上がります。多くの精神科病院が自然豊かな郊外に位置しており、通勤に不便です。そうした看護師不足解消のため、高めに年収を設定している病院が多数あるようです。

http://www.jinji.go.jp/kyuuyo/minn/minnhp/minnkyuukankei_data/29hyo5.xls

平成29年人事院統計書調べによると、看護師の平均年収は約400万〜500万です。

つまり、精神科病院での年収は、看護師の平均年収とあまり差はありません。余裕を持って働ける点を考慮すれば、業務内容に見合った、もしくはそれ以上の年収ではないでしょうか。一般の病院では、激務な業務内容に見合った給料ではないところが多くあります。また、時間は、お金に変えられないですよね。一見年収が低くなるように思えますが、プライベートに使う時間が確保できるため、それ以上の価値があるのではないでしょうか。

■精神科に転職してこう変わった! 体験談を紹介

それでは、実際に転職を経験した筆者が、生活にどのような変化があったのか体験談を紹介します。「看護師を続けたい」と思えるようになったのは、次のような変化があったからです。

 

・定時で上がれるようになった

・人間関係に悩まなくなった

・充実した研修に参加できるようになった

・実習指導が楽しくなった

・看護にやりがいを持てるようになった

 

子育て中の看護師にとっては、保育園のお迎えや帰ってからの子育てが待っているため、残業はできればしたくないですよね。精神科に転職する前までは、残業を断れずに苦労する日々が続きました。しかし、精神科に転職したら、ほとんど毎日、定時で上がれるので、子育てや家事に専念できるようになりました。子育てや家事に忙しいけれども、精神科の看護師としてのスキルアップも欠かさずに取り組めています。研修も億劫に感じることは少なくなり、楽しく取り組めています。やはり、やりがいを感じて仕事ができるのも、モチベーションアップにつながりますよね。

一方で、マイナスの変化もありました。それは、精神科へ転職して、年収が下がったことです。背景には、残業がほとんどないことと日勤常勤の勤務形態であることが影響しています。年収は少し下がりましたが、子育てと仕事の両立に悩むことが少なくなったたて、とても満足しています。自分の体調管理もしやすくなりました。

「看護師を続けたい」と思えるようになった筆者ですが、精神科の転職を勧めてくれたのは、転職キャリアのアドバイザーさんでした。現状ある心配ごとを伝えて、子育てと仕事の両立を叶えるには、精神科がベストであることを提案してくれています。何を大切にして看護師を続けていくかが、転職をする際のポイントになるわけですね。看護師もひとりの人間なので、プライベートが充実していれば、心に余裕ができます。余裕ができれば、質の良い看護につながるのではないでしょうか。無理をせず、母親や妻、看護師などそれぞれの役割を果たすことができれば、楽しく仕事を続けられるのかもしれません。楽しく仕事を続けるためにも、今の状況を一度、アドバイザーさんに相談してみると良いでしょう。

■プライベートも充実しながら楽しく働き続けるために

プライベートと仕事の両立を叶えるには、精神科がおすすめです。ここでもう一度、

精神科で働くメリット・デメリットをおさらいしてみましょう。

 

メリット

・残業が少なく、業務に余裕がある

・優しい看護師が多く、人間関係が良い

・患者さんとじっくり関わることができる

 

デメリット

・医療処置が少なく、スキルアップしづらい

・誹謗・中傷を受けることがある

・患者さんに影響されることがある

 

看護師は激務ですので、体調も崩しやすくなるでしょう。ゆとりを持って働けることは、看護師を続けていく上でも大切です。プライベートを充実させて、生き生きと自分らしく、楽しく働けたら良いですね。